夏のはじまり

いつか北海道でキャンプがしたい。
「いつか」は思っていたよりずっと早く訪れた。

DayOut Day前日には朱鞠内湖畔キャンプ場に。トラブルは旅に付きもの、キャンプ場に着いたのは受付時間ギリギリの夕方だった。

湖ギリギリの場所に設営。
対岸に並ぶ白樺の白と緑、澄んだ湖、赤茶けた土の色。
おおよそ日本らしくない風景に見とれつつ、輸送で破損したマントルを交換したり、固い地面に鋼のペグを打ち込んだり。

北海道の昼は長い。
もう7時を過ぎようというのに、まだ日がある。

湖越しの林の上に月が小さく浮かぶ。
もう夏だ。

簡単に晩ご飯を済ませてから子どもを寝かしつけ、少しだけ焚火とコーヒーを。

四国でもらったウォールナットの板は、焚火のサイドテーブルとして連れて来た。
妻がいたく気に入っているようで、焚火には欠かせない。困った時は薪にもなるしね。

朝、4時には日が昇っていた。
暑くてテントのジッパーを開けた先の風景がもう素晴らしい。

……とは言え暑すぎる。
北海道入りして以来、連日30℃超え。寒さの心配をしていたのが嘘みたい。

やはり簡単に朝食を摂ったあと、林間のサイトへ移動してテントを張り直すことに。

新調したフラッグをぴんと張る。
ご厚意でいただいた二代目フラッグ。また日本中を旅しよう。

テントを張ろうとしていると、手伝うつもりなのか子どもがポールをつかみたがる。男の子みんなが長い棒を振り回すのは、狩猟本能が騒ぐからだろうか。

湖を見下ろす木陰の場所を譲っていただいた。
濃い影の下ならタープは必要ない。この日も気温はぐんぐんと上昇したけど、日陰なら過ごしやすい。

二度目の設営も完了して、お昼ご飯。
暑いから冷やし中華にしようと北海道のスーパーで探したけど売ってない。仕方なく冷やしラーメンを買ったけど、冷やし中華と何が違うのか良くわからなかった。

少し落ち着いてあたりを散歩していると、少しずつ人が集まってきた。

「はじめまして」

そう挨拶して、フラッグのワークショップをしたり、北海道のキャンプの話をしたり。

今回はたくさんの子どもが参加してくれたので、とても賑やか。とても楽しい。

あっという間に晩ご飯の時間。
ばたばたと時間は過ぎたけど、いろんな話をした。
北海道のこと、キャンプのこと。
こうして遠くまで来て、色々な人と話ができるのは本当にうれしい。

焚火を囲んでワインを空けて、北海道の夜は更けていった。印象深い、良い夜。

翌朝、日の出には間に合わなかったけど素晴らしい風景。
凪いだ湖面には、どこまでも空が続くような、反転の世界。

言葉がない。

しばらくして皆が撤収し始める。
名残惜しいけれど、「またキャンプしましょう」と別れを告げた。

次に北海道へ来るときはキャンプトリップで各地を巡ってみたい。

参加いただいた方々を見送った後、湖沿いにテントを張っていた方と話していると、カヤックに乗ってみないかと誘っていただいた。
お昼寝の時間が近づいていた子どもの機嫌が悪く、開始5分で陸へと戻ることになったけど、素晴らしい体験だった。
次は自分のカヌーを持ってこよう。

北海道は夏のはじまりを感じさせてくれた。
夏の間、DayOut Dayは少しお休み。

次は秋、どこかへ行きます。