素敵なキャンプ.

バックパックで四尾連湖水明荘キャンプ場へ2泊。

昨年は11月の平日で予約が取れなかったので、1年越しで行く事が出来た。

電車バスからの徒歩で四尾連湖へ向かうには、我が家からけっこう時間がかかるし、

不思議と今回は上手く現地に着けるのか、何故か不安があったので朝は一本早い高速バスで甲府へ向かう。

一本早いだけで、ちょっと時間を持て余したので甲府駅の立ち食い蕎麦でかき揚げ蕎麦を。

かなりローカルな電車へ乗り継ぎ、市川本町という駅へ。

ここまでで、かなり時間を要したがここで大きな落とし穴が。

この駅からコミュニティーバスで四尾連湖へ向かう予定であったが、都会の感覚で来てしまったのが悪く、

市川本町は無人駅で降りたらバスのロータリーなどは無く、バス停がどこにあるのか全くわからない。

このバスはかなりローカルなやつで、たまたま居た現地の方にバスの事を聞いても全く知らず。

バス停を探すにも、発車時刻に余裕も無い。

いつもなら二重三重に行き方を調べ上げてくるのに、この時ばかりはなぜか下調べも甘く、現地に着くまでのシミュレーションを頭の中できちんと出来ていなかったから

不安を感じていたのかと、当たり前のような凡ミスに自分を責める。

仕方がないので歩くかと、Google mapで確認すると徒歩3時間‥

コミュニティーバスに乗れば100円で徒歩30分圏内まで行けたのに‥

自己嫌悪と絶望感を抱えながら歩き始める。

この日は見事な秋晴れで、ただ最低気温は3℃まで下がるようなのでヒートテック極暖に暖パンといった服装。

その上ずっと登りなので、容赦のない太陽と重装備のバックパックで真夏のような滝汗。

3時間歩くつもりで、または登るつもりで来たのなら気分も違って歩けただろうけど、100円なのに‥と降り積もる自分に対しての嫌悪感。

何がクソーっと思ったかって、途中で乗る予定だったコミュニティーバスが僕を追い越して行った事。

バスと行ってもワゴン車で、これは帰りに知った事なのだがローカル過ぎてかなり融通の効く運転手の方で、

何なら四尾連湖まで直接行ったり、おばあちゃんを病院まで連れて行ってくれたりとする感じのバスだった。

1時間ほど歩いた所で、永遠に続く登りにあと2時間これかと、あまり車も通らないけど生まれて初めてのヒッチハイクをするかなぁなんて思ったり。

するとここで、今回のキャンプを決定付けたような奇跡が起きた。

トラックが一台止まったのだ。

「もしかして四尾連湖まで行くんですか？良かったら乗って行きます？」

まるで神の声に聞こえた。

夕方のチェックインになるかなぁとか諦めモードに入っていたので、あの時の嬉しさと言ったら。

仕事中の若い地元の男性で、聞けばバイクに乗ったりたまにキャンプしたりと同じ趣味を持っていた。

最近ようやく子宝に恵まれてとか、ひーコラ登っている僕を見かけて何かを感じ戻って来てくれたと言う。

素敵すぎる！

この時の事は、書けばあまりにも長くなってしまうので割愛するが、僕は生涯忘れない。

お陰様で何とか13時チェックインにほぼほぼ間に合った。

四尾連湖の管理人は、ブームで人気のキャンプ場になったのに腰は低くて笑顔が良い素敵な方だった。

そう、僕は完全に素敵モード。何もかもが素敵に見える。

四尾連湖に着いたぞー！と、苦労した分、現地に着いた喜びは富士山頂に着いた時のアレに似ていた。

サイトへ向かうには、ここをネコ（一輪車）で荷運びするのだが、僕はバックパック故そのまま歩いて行ける。

紅葉も絶頂期で、ここまで登ってくればさっきまで容赦のなかった日差しも心地よく、素敵やんと気分も良い。

張りたかった場所は埋まっていたので、最奥のEサイトへ。

ここは全く陽が当たらずウェッティーな地面。

先客の母子キャンプのグループがいたのだが、軽く挨拶すると元気に返ってくる挨拶が何とも素敵な家族で、

推定60歳手前くらいの母親が、大きくなった娘2人と多分長女の友達を連れての女性4名。

母親はベテランキャンパーのようで、娘たちにいろいろレクチャーしている。

別に聞き耳を立てた訳ではないのだが、このエリアには僕とその家族しかいないので、静かな四尾連湖では嫌でも耳に入ってくる。

母のレクチャーが聞こえてくると、まるで教科書通りのその説明は、

きっとこの母子キャンプを成功させようと前夜まで勉強して来たのだろうなぁと母の努力が汲み取れる。

なぜそう思うかと言えば、そろそろ15時になろうかというのに、設営に時間がかかったようでこれから昼飯を作ると言う。

しかも焚き火でパエリア。ベテラン風ではあるが、その焚き火をなかなか起こせないでいる。

きっと父親がいつもやっていたんだろうなぁと、尚更お母さん頑張れと心の中で応援をした。

どうしたんですかぁなんて、この場合は頑張る母親の顔を潰したりはしない。

もう15時だったので、オヤツに肉まん＆カレーまんにお吸い物を。

あれから30分は経っただろうか？隣の家族は未だ火を起こせず。しかも果敢にも母はずっとファイヤースターターを使っている。

それでも文句を言わずあーだこーだ考えて文句を言わない娘たちがすごく素敵。

四尾連湖は観光客も多く、散歩だけの特に熟年老夫婦が多い。

興味本意でその焚き付けを見学していた老夫婦の旦那が、どれどれちょっとやらせてみてなんてしゃしゃり出る。

正直、とっくにギブアップだったであろう母親は容易にスターターを渡す。

ビギナーズラックなのか、数回で火が着いてしまう。

テメー空気読めよとオヤジに言いたかったが、ようやく火がついたことに大きな喜びを表現している娘たちが素敵過ぎて、手柄を感じているオヤジはもうどうでも良く

本当に良い家族だなぁと素敵感が増す。

水明荘の隣りにある龍雲荘側の湖畔は浜辺で、そちら側からグルっと一周散歩に出かけるが、もちろん紅葉も綺麗なので

ずっと、素敵やん‥もう素敵やん！と素敵が止まらない。

日が落ち始めた頃、秋独特な哀愁を感じ始めた。

Eサイトには隠れサイトのような少し登った所にも張れる場所があり、日はほとんど当たらないと思うけど雰囲気抜群。

参考までに。

今回から、いつも使っていたTurkの重さはバックパックにはキツいなと、初めからわかっていた事を今更改善。

Boottonationの打ち出しdishを。

これだけでTurkの半分以下の重量に。

夕飯はすき焼き。この素敵な気分でのコレは、すき焼きって特別な日に食べるものってのは、

きっと本当のことなんだなと思えた。

LOCAS GEARの存在感が凄い。

しかし、この静かな場所で元気な家族、特に女性4人のガールズトークはすごい。

止まらないし湖畔に響き渡る。

PRで使わねばならぬ、韓国のAurora Blue。

焚き火が青一色に変わるのは、本当にオーロラの揺らめきのようで綺麗だった。

オーロラ見たことないけど。

口出しせず、隣の母子キャンプを見守っていたけど、何か思い出の役に立てないかなぁと、

良かったら使って下さいとAurora Blueを分けてあげた。

「うわー綺麗」「素敵な思い出になるね」と、リアクション抜群の家族。

心の中のガッツポーズと、タープで隠れたニヤニヤが止まらない。

相変わらずキャンプで眠れない自分なのだが、もう0時近いのに止まらないガールズトーク。

しかもずっと変わらず日常の声量。

次から次へとオヤツやおつまみ、酒を出してくるお母さん。

みんなを喜ばせようと、たくさん準備して来たんだなぁと微笑ましい。

しかし何が面白いって、隣は超絶マナーが悪いのだ。

まぁマナーとは言っても、挨拶も人間的にも良い方々で、言ってしまえばマナーを知らないのだ。

年配のキャンパー、昔は今ほどマナーマナーなんて言わなかったし、そんなに周りを気にしていなかった。

現に僕の父も百戦錬磨のキャンパーだが、数年前に一緒にキャンプへ連れて行ったとき、今で言えばビックリするくらいマナーを知らなかった。

ただ個人的に思うのは、今はマナーマナー言い過ぎなんじゃないかなぁと、少し堅苦しく感じる。

もちろん守るべきものだし、守るけど。

0時過ぎて片付けを始めた家族。鉄板とかガンガン叩いて絶対やったらダメなやつばかりだったけど、

幸いこのエリアには他に僕だけなので、気にならないので全スルー。

5時起きで朝活。朝は焚き火ダウンを着ないと寒いくらい冷え込んだ。

日が当たるのと当たらないのでは、紅葉の色味も全く違う。

最近ココアにハマっている。暖かくて甘くて美味しい。

その分、コーヒーはブラックを飲んで苦手だったブラックを慣らしている。

朝食はすき焼きうどん。

名残惜しかったけど、隣の家族に別れを告げて張りたかったサイトへ引越しをした。

林間の下段サイトへ。ここは日当たり良好。日中は半袖でも良いくらい。

滞在中、一体四尾連湖を何周しただろうか？

水明荘のテラスでカレーなどを出店している3Freeというカフェ。

3Freeのお兄さんたちも爽やかな方々で、小腹も空いたし挨拶変わりに1000円の、しかも＋100円で大盛りの高級キーマカレーを頂く。

思えば以前、西湖でも同じ経験をしたなと微笑ましい。

あの時はダイエットと節約をしているのに、夕飯はアジフライのクセに昼にカフェで高級ワカサギフライ定食を食べて反省したなぁと。

今回はキーマカレーを食す‥そう、今夜の献立はカツカレー。

同じ轍を踏むとは正にこの事！

サイトに戻って一服。とにかく秋晴れが気持ち良い。

キャンプ場のトイレはぼっとん。

僕が子供の頃のキャンプのトイレって、今のような優しいぼっとんではなく、子供1人容易に落ちる大きな穴に、それだからこそ底が丸見えの糞尿溜まり。

そこから来る強烈な臭いと、何故か必ずいる蜘蛛、蛾、カマドウマ。しかも都心では絶対に見ないモンスターサイズ。

動くなよ‥絶対動くなよと用を足して育ったのが懐かしい。

LEISMORのbackpackers lantern standが素晴らしい。

重量およそ60g。LED専用のスタンドだが、軽いは正義とは正にこの事。

薪木拾いを兼ねての散歩を繰り返し夕方に。

今夜のカレーには、たまに無性に食べたくなるゴーゴーカレーのレトルトを使う。

辛いのは得意ではないのに、キャンプでは不思議と辛口をチョイスする。

湯煎中のパウチが、まるでゴリラが湯船に浸かっているようで面白かった。

夕飯はカツカレーにキャベツのサラダ、オニオンスープを。

自分で作るより美味いのではと感じたゴーゴーカレー、さすがクセになるやつ。

奇しくも月蝕翌日からのキャンプだったので、月が明るかった。

翌朝も5時起きで朝活。

朝食はベーコンチーズエッグマフィンにモーニングプレートとポタージュを。

ベーコンレタス2倍にしたら食べ応えも倍に。

帰りのコミュニティーバスが14時近く、チェックアウトは11時なので、レイト代払ったら残ってても良いですかと管理人に伺うと、

徒歩だし駐車場に影響はないし、お金はいらないのでゆっくりして行って下さいと嬉しい言葉を頂いた。

素敵やん。

こんなに優雅で余裕のある撤収は初めてだなぁと思うほど、風も穏やかで気持ちの良い撤収だった。

ただ、あの母子も挨拶を交わした人たちも、誰1人居なくなったキャンプ場は寂しげで、何とも言えない気持ちになった。

この哀愁は何だろう？

もちろんそんなつもりは無いけれど、二度とここへは来ないからなのか、それとも秋がそうさせたのか？

ゆっくりしていいとは言われたけど、11時撤収は守った。

撤収時間通りに撤収するのが、何か自分の中でのキャンパーレベルを測るような掟がある。

もちろん遅れる時もあるけれど。

バスの時間まで、テラスで日向ぼっこ。

あぁ幸せだなぁと、今夜は仕事なのでそのロケーションの違いを楽しんだ。

最後はチェックインで忙しく、走りながらも気をつけて下さいねーと笑顔で手を振ってくれた管理人。

挨拶をしてくれたカフェの方々。本当、ここまで寂しい気持ちでキャンプ場を後にしたのも久しぶりだった。

キャンプ場から徒歩20分程でバス停へ。帰りは絶対に逃すまいと早めにここへ着く。

歩く人はもちろんいない、車もほとんど通らないバス停でボーッと過ごした時間は、

この素晴らしい素敵なキャンプを回想するには持って来いのロケーションだった。

そしてようやく乗れたコミュニティーバスは、やはりかなり地域密着型で、途中おばあちゃんを病院に迎え行ったり、

僕の事も駅の目の前まで行ってくれるなど、最後まで人の優しさに触れる事が出来た。

今回、1番良く撮れた四尾連湖。

本当は他にも書きたい事はたくさんあったのだが、いい加減長くなったので、ここで綴るのは終わりにする。

地獄かよと思えた想定外の徒歩から、一気に天国へと駆け上がった今回のキャンプ。

例え野営で1人であったとしても、自然に対してでも大切なのは笑顔と挨拶と思いやり。

答えなんて、意外と簡単な所にあるもんなんだな、きっと。

偶然にも、100投稿目のこの記事をこんなにも素敵なキャンプで綴れた事に、感謝しかない。