新世界.

バックパックで浩庵に3泊。3泊分なので、少々長い備忘録。

今回はソロで3泊の挑戦、前々回のふもとっぱらから前回の青野原まで休みなし。

青野原からまた休み無しでこの日を迎えたので、自分への労いも込めての3泊。

今回はバックパックを始めてから、初めてのカートを引いての手荷物有り。

当初の予定では、浩庵荘前というバス停を降りて徒歩3分で浩庵という楽勝な計画だったが、

最近のバス運行時刻は不安定なので、バスを使う時は前日までにバス会社に確認を取るようにしている。

するとまさかの浩庵方面のバスはこの4月初旬で廃線。

確認して良かったと思う反面、本栖湖というバス停から徒歩で約50分という試練。

しかし今回のキャンプ場選びは浩庵一択だったので受け入れる。

初めてカートを引いて、カートの重さは20㎏弱。

20㎏引けるのなら、カートに重い軍幕や薪ストーブも乗せれるなと一瞬よぎったが、

僕の拘りとして、カヤックなど飛び道具以外ではザック１つでバックパックキャンプというのがあるので、

その方向性はやめた。

何とか歩ききって迎えてくれた富士山。

苦労した分、きっといつもより美しく見えていたに違いない。

カートの中身はカヤック。

インフレータブルカヤックFire Fly2。

バックパックでもカヤックキャンプ出来るんだぜと、新しい挑戦をした。

バスと徒歩だと11時着が最速だと思うが、ぽっかりと偶然にも空いていた湖畔沿いに設営出来た。

この価格帯のインフレータブルカヤックは、世界中のサイトを探したけどあまりカッコいいのがなくこれに落ち着いた。

早く出航したい気持ちを抑えつつ、まずは昼飯。

このミニトングはEVERNEWのNICKTSUKAM。

使い勝手、サイズ、重さ、フォルム。最高のミニトングを見つけてしまった。

昼飯は、白米を炊いてそのミニトングで焼肉。

アスパラ豚巻きがMVP。

いよいよ進水式。この時「ヨ〜ホ〜♪」と言ったのは言うまでもない。

今回は約半年前からの計画。

浩庵一択だったのは、進水式は家族で過ごした思い出のある本栖湖にしようと決めていたから。

逆さ富士。

昨年9月から、ソロでの新幕を検討して一度は使っておこうとHILLEBERGに決めていた。

テント貯金も貯まったし、前回か今回のキャンプからデビューの予定だったが、うちのワンズ♀が癌になってしまい、今では回復して元通り元気になったのだが、

多額の医療費がかかってしまいテントは保留。

僕はまだHILLEBERGを使う域に達していないんだなと、PANDAを更に使い込む事にした。

思考さえ必要の無い時間。

夕飯は白米と家で子供たちと包んで持って来た餃子、それに妻直伝の卵スープ。

餃子は冷凍して持って来たら溶けて全部くっついてしまったが、海老しそチーズが逸品だった。

平日なのに浩庵は混んでいて、湖畔沿いの灯りが綺麗だった。

疲れていたので、朝はのんびり起床の8時起き。

この日も富士山はご機嫌だった。

朝からカレーを煮込んでカレーライスを。

普段は子供に合わせて甘口カレーなので、そんなに辛いのは得意ではないけど辛口カレーを。

それとタコとアボカドのサラダを作ったけど写真が無かった。

春になり、最低気温も落ち着いてきたのでストームクッカーをバーナー化。

中華サイトで1200円くらいだったバーナーで、火力や燃費を心配したが充分使えた。

NATUREWEAPONのワッペン。

１つで寂しげだが、デザインは気に入っている。

で、カヤック。2日目は風が強かったが、気温は高く太陽の日差しがジリつく。

富士山とカヤックだと、同じ写真ばかりで今回のキャンプは撮れ高が少ない。

湖畔にプカプカ浮いて見る風景は、陸からと違って静かで気分が良い。

カヤックしたり昼寝したり散歩したり。

とにかく今回は天気にも恵まれ最高の時間を過ごせた。

久しぶりの浩庵は、湖畔上の茂みを開拓してサイトが広がっていた。

何て素晴らしい時の流れなのだろう。

夕飯には、朝煮込んだカレーに追い肉と餅を足して
力カレーうどん。

アルミ色ギラギラのハンドルが気に入らなかったので、焚き火に投入したら男前になるかなぁと。

ただクッカーと違うから溶けたり変形したら嫌だなぁと思っていたのに、投入したのを忘れて他の事をしていたら破損してしまった。

3日目は5時起きで日の出を堪能。今日も富士は絶好調。

朝食にはチーズカレーサンドとモーニングプレートにポタージュを。

3日目の浩庵は空いていた。この日まであちこちにテントがあり気がつかなかったのだが、

ふと見覚えのある木があり、そこから富士山と自分のテントを見てビックリ。

去年の夏に来た時は本栖湖は増水していたのだが、
自分のテントがある場所は去年家族で張ったサイトの目の前、

正に家族みんなで泳いで遊んだ場所だった。

偶然ぽっかり空いた所に張った場所。きっと神様が空けておいてくれたんだなぁと、何だかロマンチックな気分に。

夕方。この日もカヤックしたり散歩したりうたた寝したり。

ここまで最高なキャンプはあるのかと思っていたらアクシデント。

夕飯の準備で昨夜壊したハンドルを使っていたら、それが大破して沸騰した鍋を左足に落として大火傷。

明らかに自分の不注意だが、焚き火に入れて壊したハンドルの呪いかと、

ここ数年キャンプで怪我をしていなかったので、最近は注意散漫だったのも否めない。

気を引き締める良い教訓を体験した。

火傷が痛くて悶絶しながら作ったミートソースとシーザーサラダ。

まともに歩けなく、明日の帰りかなり歩くのに不安が過る。

風が強く横殴りの焚き火。幸い風向きのお隣さんとはかなり距離があったので良かった。

この頃から火傷の痛みは引き始め、明日は何とかなりそうだなと一安心。

4日目の朝。滞在中、初めて富士山に雲がかかる。

が、この後には今回最高の富士山を見ることになる。

焚き火をしていると徐々に雲は晴れ風も止み、湖面が整い始める。

最後の最後に最高の顔を見せてくれた。

4日目の朝は卵ご飯に納豆とサバの水煮缶。

この富士を見ながらの朝食は、例え缶詰でも忘れ得ぬ朝食となった。

そして撤収。

計画の段階から、ザックを背負ってカートを引いて、浩庵のこの坂を登るのが憂鬱だった。

しかも自業自得な火傷のハンデ込み。

もうここまで来たら気合いと根性のみ。

ようやく登り終わった所から、徒歩50分スタート。

行きと帰りは試練だったが、その間に挟まれたキャンプは最高のものだった。

初めてのカヤックキャンプへの挑戦。火傷したけどそれも良い教訓だったと、後日笑えるだろう。

ここまで長い文章になってしまったが、
余談がある。2日目の朝にこんな出来事があった。

10時頃、朝食の準備をしていると隣にバイクでソロの青年が設営を始めた。

僕も若い頃、よくバイクでキャンプしたなぁと微笑ましく、また羨ましくもあった。

その日は風の強い日で、周りで設営している人たちは苦労しながらテントやタープを張っていた。

隣の青年は、何度やっても風に煽られてタープが倒壊してしまう。

明らかにポールの角度が悪い。

まぁでも、これも良い経験なのかなと口出しせず朝食を済ませ、諸々準備してカヤックで出航しようとすると、

もう1時間は経過しているのに、まだ隣では悪戦苦闘、タープが張れていない。

とりあえず出航はやめて、タバコを吸って様子を見ていたが、これで心折れてキャンプを嫌いにならないで欲しいなぁと、

大きなお世話だがつい声をかけてしまった。

少し手伝うと、ようやく張れたタープにその青年は笑顔で「初めてのソロなんです」と。

だが、夜までその青年のタープが立ち続けることは無かった。

カヤックから戻ると、「ロープが切れちゃいました」と。

そんな出来事を2人で笑った。

彼が今後、キャンプを続けて行くのかはわからない。

僕のことなんかも忘れてしまうのだろう。

ただ、この出来事だけは心の片隅に覚えておいて欲しい。

そして、それをいつか誰かに繋いで、

そのバトンが世界中を巡りに巡って、何年後か何十年後か、僕の子供たちの所へ帰って来たのなら、

それはとても素敵な事だ。

風と共に、どうかそんな世界であって欲しい。