知床エクスペディション2019 Pt1
*Pt5まで続きます。
毎年恒例のGW一人旅。今までその存在は知っていましたが、飛行機代やツアー料金も含めかなり高額になるので二の足を踏んでいた知床エクスペディションに参加してきました。このエクスペディションは6日間+予備日1日の日程でカヤックで知床半島一周を目指すというツアーです。ご存知の通り、知床半島は手付かずの大自然で道路すらないため、すべて自給自足、途中で何があっても自力で帰還しないといけないというスパルタンなツアー。そのため誰もが「知床ツアー」ではなく「知床エクスペディション」と呼んでいます。
羽田から女満別空港へ飛び立ち予定通り、昼に到着。手荷物を出して空港のロビーに出るといきなり女性に「hfjさんですか?」と声をかけられてびっくりしました。この方はアシスタントガイドのユキエさんで、このあと全日程でお世話になることになります。なんで面識ないのにすぐわかるんですか?と聞くと、巨大なリュックとマットを持っている人は他にいないから。という理由でした。その後ユキエさんの運転で斜里町にあるベースキャンプとなるS村のコテージへ向かいます。
コテージに到着すると薪ストーブで米を炊いていたガイドの新谷さんが出迎えてくれました。新谷さんとはカヤック業界では有名な方ですが、常人の想像を超えた冒険を今まで行ってきた冒険家です。しかし御本人はいたって謙虚で気さくで気のいいおじさま(おじいちゃん?)でした。
新谷暁生さん略歴:大学時代よりネパールをたびたび訪れ、1980年代にはヒマラヤ・チャムラン峰/カラコルム・ラカポシ峰登山隊長を努め、1990年代よりシーカヤックによる冒険を始める。南米最南端ホーン岬周回、アリューシャン列島横断などのカヤック遠征を成功させる。また冬季はニセコにて雪崩観測ボランティアの責任者を務める。本業はニセコにてペンション経営。エッセイ集も出版されているので興味がある方は読んでみてください。
ツアー参加者は長崎から来た定年退職後のTさんと北海道に移住してきて山岳ガイド見習いをしているMさん、そして僕とアシスタントのユキエさん、新谷さんの計5名です。自己紹介もそこそこに酒盛りが始まり、夕食を食べながらアウトドア談義をしていましたが、登山もカヤックも好きな自分には目からうろこと爆笑の連続でついつい飲みすぎてしまいました。
Day1:
翌日はいよいよエクスペディション初日。装備類とカヤックを車に積み込み、斜里町から羅臼の相泊港へ向かいます。途中までひどい二日酔いで朦朧としていましたが、峠の途中から国後島がくっきり見えるようなり、一気にテンションアップ。新谷さんが漁業関係者らしき人たちに出発の報告をしているところを見て緊張感が高まります。。個人装備と割り当てられた鍋、食器、食料などの共同装備をカヤックに積み込み昼過ぎにいよいよ出発。
出発当初は霧がかかっていましたが、幸い無風凪の状態で、ゆったりしたペースで国後島を右手に見ながら北上して行きます。
途中で5頭くらいのトドの群れが横に現れ、カヤックを威嚇してきます。
知床半島も場所によって全然風景が異なるのですが、このあたりはちょっと西伊豆みたいなかんじです。
休憩を挟んで3時間ほど順調に漕いできましたが、徐々に風が強くなり、ペキンノ鼻という岬の一つ手前で上陸。上陸してすぐに凄まじい突風が吹いてきました。新谷さんはこのお天気も予測していたようで、あえて知り合いの漁師さんの番屋があるところをピンポイントで目指していたようです。
突風が吹くのでテントを張るのはやめなさいと指示が出て、番屋に宿泊することになりました。
*通常は許可なく使用してはいけません。
なんと新谷さんはガス器具を一切使いません。というか持ってきてすらいません。太い丸太を二本、15センチくらいの間隔を開けて風の吹く方向と平行に並べ、丸太の間の空間に小枝を入れて着火剤を使って火をつけると一瞬で火が起こります。そこへほどよい流木を入れて丸太に網を渡すと調理可能になるというわけです。事前リサーチで知っていましたが、いつでも即焚き火ができているのでびっくりしました。米を鍋で炊いた後には卵、ひき肉、ほうれん草を炒めて三色丼を作っていただきました。
日が暮れるころにはますます風が強くなり転びそうになるくらいの爆風になってきました。そしてなんと浜に置いてあるカヤックがゴロンゴロン転がっていきます!慌てて一箇所にカヤックを集めてからまとめてロープで縛りました。テントを張っていたら間違いなく壊れていたでしょう。この日は番屋の中で和気あいあいとまたアウトドア談義をして早めに就寝。
Day2:
翌日全員5時くらいには起床しましたが、相変わらずの爆風で、海面には方向が変わる突風によりミニ竜巻がいくつも起こっている状態。朝食を食べた後にしばらくして停滞決定。川沿いの崖に行者ニンニクを摘みに行くというのでついて行きました。行者ニンニク(アイヌネギ)とは関東で見たこともないし食べたこともないですが、ビタミン豊富で滋養強壮に良い野草だそうです。
その後もやることもないのですが、なぜかMさんが持ってきた世界地図を広げて、新谷さんから氷河期時代の民族移動の話、チベットの話、アリューシャン列島やアイヌ民族の歴史の話、などを聞いています。アリューシャン列島が発祥の地、というカヤックの歴史の話も興味深いものでした。昼過ぎに飲酒解禁(天候によって急遽出発する可能性もあるので午前中は飲酒禁止)され、みんな思い思いに海を眺めながら共同装備で持ってきたワインを飲んでいました。
写真はありませんが、夕食は行者ニンニク入りのペパロンチーノ風パスタ。ネギとニンニクを合わせたような香りが絶品でした。そして明日の天候回復を祈ってまたも早めに就寝しました。続く
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しゅぷ〜る
いいですね、知床。 作り物でない自然がいっぱいで。 今、行きたい所のベスト3に入ってます。 再来年になりそうですが。 続きを楽しみにしています。
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kuma
冒険のような知床遠征とはすごい! ワイルドな話に圧倒されます✨ 続きも楽しみにしてます😊
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Takelt400
エクスペディション(✧д✧)という名が付くだけで凄さが伝わります! 天候を見て計画がコロコロ変わっても対応できる力が試されそうですね〜Σ(°д°ノ)ノ 続きが楽しみです(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク