能登の嵐が吹く夜に
晩秋から初春、能登には強い季節風が吹く。
時に雷をともなう嵐となり、それはブリの到来を示すことから「鰤(ブリ)起こし」と呼ばれている。
きっかけは大学からの友人のキャンプのお誘い。どうせなら普段行かない場所にしよう。友人の希望もあり2泊3日で能登へ。
能登は遠い。まだ日が昇らないうちに友人宅を出発し、氷見の漁港で昼食。昼過ぎには千里浜なぎさドライブウェイへ。砂浜を観光バスが走る光景に驚いた。
日が傾く前になんとかキャンプ場に。ここは小さな港を見下ろす高台にある。他にキャンパーはいない。夕日の名所、皆月の海の展望を独り占めできる。
海を臨む場所に設営を終え、友人自慢の鋳物のロースターで晩ご飯。曰く、良い牛肉の脂で鍛え上げたらしい。
良い肉には良い絵力が宿る。
見てるだけで、もうすでにうまい。脂が染み込んだ鉄板でカリッと焼かれる肉。
う・・・、うまい!
夕景。こうして外で友人と過ごす、素晴らしい時間。
晩秋の能登の日暮れは、少し暗い色した海と相まって独特の哀愁がある。なんとも言えず切ない。
翌日は輪島の朝市で干物を仕入れて、奥能登をドライブ。能登半島の先っぽは観光地化されてて少し残念な気持ちになった。
うまいコーヒーを淹れるための名水を汲み、キャンプ場へ戻る。途中から雨が降り、風が出てきた。少し嫌な予感がした。
この晩の写真は無い・・・。写真を撮るには腕が三本必要だったから。
強い風と雨。屋根のある炊事場へ移った。が、風は強くなる一方。
嵐だった。
風に煽られる荷物を抑えつつ、寒さに凍えながら魚を焼き米を炊いた。途中、あまりに凄まじい風に思わず二人で爆笑した。
2時間程経ち、突然の静寂が訪れた。日本海の風は気まぐれ過ぎる。
その後は酒を飲んで眠りに就いた。テントに潜り込むときに、テントのフレームが風で曲がっていることに気づいた。
日本海の風は凄まじい。
ここに雷が鳴れば、鰤起こしと呼ばれるそれだったんだろう。
翌朝は晴れ渡っていた。
キャンプ場の管理を請け負っている地元のおじさんが言った。
「この時期から春までは身を小さくしてじっとしてるんだ、このあたりでは」
なるほど、このキャンプ場は10月いっぱいでシーズンを終える。風は変わらず強く、遠くに風車がよく回っていた。トンビが風に遊んでいるように見えた。
「いい経験だった」そう言い合える友人で良かった。強風のなか、なんとか撤収を済まして能登を後にした。
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こえだ
肉、うまそうすぎ…
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BEKE
夕日がホントに綺麗ですね‼︎って思わせる写真がとても良いですね〜‼︎
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daimaru
Oeda氏 肉は友人がなじみの肉屋で特別に仕入れてもらったらしい。サムギョプサルも絶品でした。なにより尾上製作所の鋳物ロースターがすごい。ちょっとバーベキューの概念変わったなぁ。 BEKEさん 能登半島の西側にあるキャンプ場なんで、海に沈む夕日は抜群でした。
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Hiroyuki Obara
里山街道走っていると道路に筋を入れて「まれ」のテーマが聞こえるようになってるらしいんですけど、わかりました? 今度、石川県に行った時には「まつやのとり野菜」の味噌を買ってみて下さい♪ おすすめです( ̄▽ ̄)
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daimaru
音楽が鳴る道路ありましたよ!味噌うまそうですね。次に行く機会あれば必ず買います!ありがとうございます!
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Tatsuya Amada
素晴らしい編集ですね。 清々しく感じられます。 写真の空気感もPENTAXさんの技術と相まって、私の持つカメラとは一味も二味も違った画で、見ごたえが充分ですね。 必ずまた行きましょう。必ず。
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GOMAFU COMPANY
太平洋側から来られる方からすると冬の雷鳴はかなり驚かれるようですが、珍しいことではなく「ああいよいよこの季節か」と冬の訪れを感じる風物詩です(^^;; 地元にいた頃はキャンプの愉しみを知らなかったので、今となり、能登にも素敵なキャンプ場があったとは…帰る機会があれば、訪れてみたいです( ´ ▽ ` )