熊野海道エクスペディション Pt6

Day8: 土曜日/泣いても笑っても漕ぐのはこの日が最後です。しかし和歌山の新宮市までは直線距離で30kmと十分ゴールできる見込みがあるため、各自とも和歌山へ行くという大きな目的に向けてテンションが上がっていました。雨は夜から降ったり止んだりで出発時も小雨ですが、パンのみ食べ、手早く準備を済ませて7:30出発。

風はありませんでしたが、湾を出るとちょこちょこと三角波で進まなくなります。しかし最終日ということで全員力強い漕ぎ力を見せて、スムーズに進んでいきました。予定通りのペースなので洞窟に入ってみたりして遊びます。僕はうねりが怖かったので入りませんでした笑

岬を通過し有名な奇岩である鬼ヶ城へ到着。するとはるか南へ一直線へ伸びる砂利の海岸が見えてきました。これが七里御浜という海岸で、この日は雲で見えませんでしたが、ゴール地点である新宮市の工場煙突がもうすぐ見えるはずであるということでした。

この海岸に上陸して用をたそうとしましたが、柴田さんによると砂利が波で掘られて岸が急斜面になっているから上陸時に波かぶるよ〜とのこと。まあ大丈夫だろうと上陸しようとした時、急斜面に足を取られて思いっきり波をかぶりました笑 まあ上下パドリングウェアだったので問題ないですが。この海岸は本当に急斜面で見た目よりも波が荒いです。

もう新宮市に到達するのはほぼ間違いないので、おやつなど食べながらのんびりと漕いでいきます。しばらくすると遥か彼方に2本の煙を吐く煙突が見えてきました。ゴール地点の製紙工場です。

ゴールが見えると一気に疲れて進まなくなるのがカヤック笑 見えると言っても20km近く先です。海岸沿いはすぐ脇が道路なので単調でしたが、気合で漕ぎ続け、一時間に一回小休止。

漕げば着くのがカヤック。ということで鬼ヶ城からまるまる3時間かけ、14時頃ついにゴール地点である熊野川河口に辿り着きました。柴田さんも数年ぶりの完走ということでとても喜んでいました。ここでAさんが「僕らのカヤックのレベル上がりましたかね?」と柴田さんに聞くと、「皆さん、どこへ行っても大丈夫でしょう!」と免許皆伝のお墨付きをいただきました。

とはいえ本当のゴールは熊野川へ入り込み、2km上流に上っていった道路沿いの河原です。しかし熊野川の河口にとんでもない大きさのうねりが発生していたので河口脇にいったん上陸。ここもまた急斜面の深い砂利で上陸時に尻もちをついて思い切り波をかぶりました。

河口脇から皆でカヤックを持ち上げ100mほど移動し熊野川へ入ります。その後は穏やかな川を2kmほど進み、ついにゴールの河原へ到着。和歌山の県境標識がなぜかまぶしく目に写りました。最終日漕行距離38km。

とにかく全員空腹だったので、着替えるとすぐ打ち上げ兼夕食で居酒屋へ。ついでに新宮城跡地に登ってみました。市街地と熊野川が見渡せる良い公園です。

魚系居酒屋に到着するとさっそく生ビール(とコーラ)で乾杯。皆でそれぞれ感慨にひたっていました。が、ビールを何杯も飲み干した柴田さんはグルメおじさんと化してしまい、「シメのラーメンを食べに行きましょう！」と言うので、他の皆さんは一緒に途中で発見したラーメン屋へ寄り道、僕は一人で河原へと帰還しました。テントを張ろうとするとあいにくの雨で、今朝の雨でビショビショのまま干せなかったテントと寝袋で寝るはめになり参りましたが、疲れていたのですぐに就寝。

翌朝、新宮駅よりJRで伊勢志摩まで3時間!の旅。この地方の電車はトンネルばかりで何の景色も見えずつまらないです。地図を見返したりニュースを見たりして時間をつぶしていました。

伊勢志摩よりすぐに車で新宮市へとんぼ返りしますが、レンタル艇のAさんは伊勢志摩より直帰ということで再開を約束しお別れ。伊勢高速をこれまた2時間走り、新宮市につくと片付けをして本当の解散です。柴田さんにはまた来ます！と伝え、皆さんとお別れしました。

この時点ですでに16時、しかし帰らないわけにもいかないし、途中でもう一泊などすれば関東圏の朝方の大渋滞にハマることは目に見えていたので、尾鷲市で温泉に入りお土産を買い、覚悟を決めて高速一気乗り、沼津くらいまでノンストップで走り深夜1時頃に無事帰宅しました。

こうして三重県から和歌山県までカヤックで渡る、という壮大なエクスペディションは幕を閉じたのでありました。体力的には超ハードですが、自分の限界に挑戦するライフワークとしてまた参加したいと思います。

長文お読みいただきありがとうございました。完