頂上よりも

「燕岳に登りたい」

2年前くらいからの約束だった。
ついに登ることになったけど、約束した方は残念ながら都合が合わなかった。

平日にも関わらず、登山口に近い駐車場は朝5時半に満車。さすが人気の山だ。
登山届を出して、さっそく登り始める。都内を深夜に出発したから、歩いていてもちょっと眠い。

夏の登山は暑い。
汗が噴き出て、体温が上がる。

しばらく登ったところに水場があった。こんこんと冷たい水が湧き出ている。顔をすすぎ、水を掬って口に運ぶ。

今回もミルクケーキを持ってきた。登山中の行動食には人それぞれ個性がでて面白い。
自分は優しい甘さのおやつが多い。ミルクケーキやドライフルーツ、芋けんぴ。

登るにつれ視界が白くなってきた。景色は望めないけど、ミストに包まれるようで少し涼しい。

途中の小屋の前で昼食を摂ることに。
今日はレモン素麺。すっぱくて、苦くて、この季節にはとても良い。
レモンは苦味を抑えるために自宅で何度か煮こぼしてきたけど、それでもかなり苦かった。

長い休憩後は足が重い。
寝不足もあってコースタイムよりかなりゆっくり登ってるけど、それでも辛い時間帯。

それでも歩くしかないし、少しずつでも進めば必ずゴールは近づく。こういう時の精神状態がかなり好きだ。

静かに自分を鼓舞して、歩みを進める。

なんとかテント場に到着。辺りは真っ白で眺望はまったく無い。さっさとテントを張って、ビールを飲もう！

カンパイ！

噂のケーキも堪能。体が甘いものを欲していたので、ココアも一緒に。

少し休んだら、夕食の準備。
荷物は増えるけど、登山中の料理は満足度が高い。

夕暮れ時にはガスが晴れて雲海が現れた。
辺りは昼と夜のあいだの色に染まっている。
CGで作られたファンタジーみたい。

夜には雲が取れる時間帯があった。
初めて星をうまく撮れた気がする。

少し冷えてきた。テントに入って明日に備える。

日の出とともに雲海。
今日もきれいな一日になりそう。

視界も良く、そこまで暑くもない。
朝飯前に登頂することに。

燕岳頂上への道はとても美しい。
白い地肌に緑の低木、青い空とのコントラストに見とれる。

すぐに登頂。
こんな事言ったら怒られるかも知れないけど、頂上からの景色はどこの山もだいたい同じだ。
景色が抜けていて、向こうに山がある。

個人的には、道中の辛い時間帯と山の中でどう食べてどう暮らすかが面白い。もちろん登山の楽しみ方は人それぞれで、それを聞くのも発見があって楽しい。

さあ、朝ご飯を食べにテントへ戻ろう。

テントに戻って朝ご飯。
最近はコーヒーとクリームパンの組み合わせがお気に入り。
テント泊の朝、妙に生活感あふれる様子が好きだ。

テントを片付けて下山。
荷物も少し軽くなったし、下りは良いペースで進めた。

下山後はお決まりのソフトクリーム。
暑さですぐに溶けていくから斜めに。

みんなで食べて笑って疲れ果てて、とても良い旅だった。

そして久々の登山ですっかり筋肉痛に。
もう少し足腰を鍛えておこう、次の旅のために。