八ヶ岳縦走/2018GW

毎年恒例のGW一人旅ですが、今回は登山を選択しました。昨年から八ヶ岳を訪れていますが、今回は南北の稜線を5泊で完全に走破しようという計画です。しかし悪天候と寒さのため波乱万丈の旅となったのでした。

Day 1：稜線から近いのと登山口に山小屋（夏沢鉱泉とオーレン小屋）があるので桜平駐車場をスタート地点としました。前日夕方に桜平駐車場にて車中泊です。GW中間の平日だったので駐車場は空いていました。朝6:30に歩き始め一時間半くらいでオーレン小屋に到着。途中から残雪が多く軽アイゼン装着しています。

初日の目的は天狗岳登頂と黒百合ヒュッテでテント泊なので先を急ぎました。地味で緩い傾斜の樹林帯を登ると夏沢峠です。ヒュッテ夏沢はまだ営業していません。ここで北側へ向かいます。傾斜は緩いですが岩、雪、ぬかるみがミックスされていて結構消耗しました。

歩きづらい樹林帯を抜けると根石岳への風景が開けるとともに、雪の一切無いドライ路面となりました。根石岳山荘の横を抜けて根石岳登頂、この時点でかなり日差しが強くバテました。

根石岳から登り返して東天狗岳登頂。ザックをデポして西天狗岳にも登頂しました。

この日の目的地である黒百合ヒュッテまで、下り道も雪と岩のミックスで歩くのに苦労しました。無事2時頃到着しテント設営しました。今回のテントはゼビオスポーツ・トレックドーム1です。MSRは寒すぎるしKarrimarは重すぎるのでヤフオクでポチりました！ダブルウォールで重量1.5キロです。天井も高く居住性はなかなか良いテントです。

Day 2:二日目はひたすら稜線を歩き赤岳天望荘を目指す計画です。3月に硫黄岳と赤岳
を登った時に見た稜線を見てすぐに再訪しようと思っていました。黒百合ヒュッテを出発し、初日の道を戻り夏沢峠から硫黄岳へ登ります。硫黄岳中腹から雪が無くなりそれなりに歩きやすいのですが、何しろザックが重くこれまたかなりバテバテとなりました。景色は良いのですがかなり高低差もあります。無事12時に硫黄岳登頂しました。

この時点では一応夕方まで天候は晴れの予報だったので、予定通り赤岳天望荘へ向かうことにしました。硫黄岳山頂で天望荘へ予約の電話をしました。八ヶ岳は稜線上の携帯電波が非常に良好で助かりますね。

楽しみだった稜線縦走、とはいえかなり険しい岩場で、雨や雪であれば危険な状態でした。また、横岳山頂の直下は幅数十センチの断崖絶壁で、鎖と梯子を頼りに進む必要があります。もし梯子に取り付いている途中に壊れたら滑落して死亡するレベルでした。無事に横岳登頂しましたが、その先の天望荘までもまたアップダウンが激しくきつい道のりでした。

稜線の先に天望荘は見えるのですが、なかなか到着できず、ようやく2:30頃に赤岳天望荘到着。ここで到着した直後、すぐに強風とともに強い雨が降ってきました。稜線上で強風に吹かれる危険な状況になるところでした。天候が良くないので天望荘は香港から来たという中国人カップル以外だれも宿泊客がおらず、大部屋料金なのに個室へアップグレードしてもらえました。

赤岳天望荘は本館と新館が半地下トンネルでつながっているという変わった作りの小屋です。ビールを購入し、夕食のみプランでチェックインしました。夕食は炊き込みご飯、漬物、おでん、豚肉煮込み、鶏肉トマト煮というボリューム満点の食事でこれまた久しぶりにご飯をおかわりしました。
夜になるとますます強風となり、時々小屋が揺れるくらいの暴風雨となったのですが、小屋の中ではストーブにあたりテレビを見たりまったりくつろぎます。翌日は午前中に晴れるという予報だったのですが。。。

Day3：午前中に晴れるはずが、ずっと暴風雨は止まず、色々とネットで調べると八ヶ岳上空だけにキノコ雲がかかっていたようでした。近くのスキー場のライブカメラなどを見ると、下界は快晴だったようです。荷物をまとめて山小屋のスタッフさんに「晴れたら出発しますから！」と宣言までしたのですが、結局昼の12時になっても暴風雨は止まず、停滞を決定しました。この時点で赤岳から南に進み、権現岳へタッチして帰還するプラン（昨年に編笠山から権現岳へ登ったので）は変更を余儀なくされます。

Day4:この日も早朝は薄曇りで強風だったのですが、6:30くらいには晴れてきたので赤岳山頂目指して出発しました。しかし山頂目前にガスガスの曇りになり、しかもとんでもない寒さでハイドレーションの水がカチカチに凍って水が飲めない状態。天候が良くならなさそうなので、赤岳から阿弥陀岳を目指して行者小屋へ降りる計画にプラン変更しました。ガッツリ登って無事に赤岳登頂。しかし雪まで降ってきて視界ゼロ。

赤岳から阿弥陀岳へ向かいます。途中の中岳から残雪が多くありました。

阿弥陀岳直下まではモチベーション高くガシガシ登っていたのですが、阿弥陀岳を見上げてあまりの急登ぶりに唖然としました。本当に壁のようです。凍っている部分が多少あり、また雪がかなり降ってきて視界も非常に悪くなってきたため山頂直下で撤退することにしました。

この後、行者小屋目指して下山するのですが、ルート選択をミスりました。阿弥陀岳からダイレクトに下る中岳沢というルートなのですが、新雪がある時には雪崩の危険があるため通行自粛という情報は知っていました。今回積もるほどの新雪はなかったので何も考えず下り始めましたが、北側斜面のために残雪がガチガチに凍っていて、しかも通行量が少ないためかステップ跡も消えかかっていて、しばらく降りたところで行くも戻るもにっちもさっちもいかない状況に陥ってしまいました。アイゼンは10本爪だったのですが、爪が短くて完全に凍っている斜面では心とも無い危険な状況でした。お尻を谷側へ向けてピッケルのアックスを打ち込みながらアイゼンを必死で蹴り込み、足場を確保しながら灌木のある方へエスケープして、なんとか灌木と岩を掴みながら降りましたが、良い子は絶対に真似しないでください。。。100メートルくらい降りるのに一時間半かかりました。このルートは完全な無雪期以外は通らないほうが良いです。

なんとか無事に行者小屋まで降りてきましたが、あまりに危険だった下りで疲れ果て、昼12時くらいでしたがテント泊を申し込みテントを張ります。相変わらず風が強く、アウターフル装備、テントの中にいても寒いので昼間から寝袋にくるまっています。この日は寒くてテントから出る気にもならず夕方5時には寝ていました。夕方の時点でテントの中の水がシャーベットになっていました。一応寝ることはできたのですが、この時点で温泉とラーメンが夢に出てきます。。。

Day5:早朝に出発し、できるだけ出発地点まで戻れるように赤岳鉱泉から硫黄岳を登り直しました。この登りは3月に登ったルートなのでスムーズでした。

赤岩の頭まで登ったところでダイレクトにオーレン小屋へ下りました。このルートも新雪時は道迷いの危険性が高く自粛要請されているルートです。今回登ってくる人が多かったので心配はありませんでしたが、視界のない樹林帯をジグザグに下るので、トレースがない時は避けた方が良いルートです。深い森といった場所なのでGPSを見てもトレースできないかもしれません。

天候が回復してくると雪が溶け始めて足を取られますが、無事オーレン小屋まで下山。本来ならもう1日あるのでオーレン小屋で春を感じつつテント泊をしようかと考えていたのですが、小屋にある温度計を見ると気温5度。夕方には氷点下まで気温が下がるのは間違いないだろうと思うと、ふたたび目の前に温泉とラーメンの幻影が浮かび上がり、我が家のワンコの顔まで目の前に点滅してきました。5分くらい考えましたが、ここで帰宅を決意。標高が下がるにつれ暖かさに感動しながら、一気に桜平駐車場まで歩きました。

*以下写真時系列順不同

駐車場の車まで戻ると一気に全身が筋肉痛に襲われました笑 すぐに近場の温泉に直行し、5日分の垢を流した後には（シャワーで体を2度洗いしましたよ）ハルピンラーメンと唐揚げを食し帰宅。

悪天候と色々とスキルの足りない部分で計画通りではありませんでしたが、今回も素晴らしい旅をすることができました。快く送りだしてくれた妻に感謝。また八ヶ岳を再訪して全ルート走破を目指します！