デイキャンプ

わたしは最近、嫁様に頑張らない宣言をした。
嫁様もそれを快く承諾してくださった。

わたしの職種は基本的に、土日祝祭一切関係ない。
だから365日、電話は鳴り止まないし、電話の応対を仕事とカウントするのなら、わたしはここ10数年、無休だ。正月以外。

働こうとすればいくらでも働ける世界なだけに、境界線を見失うとこうなる。悪しき例だ。

だから森にデイキャンプにやって来た。

多少と言うか、だいぶ後ろ髪を引かれたが、仕事は振り切った。

長々と背景を語ったが、ごくありふれたデイキャンプ。
普通の。
だからテントもタープも無い。

近年ますます増加する、一部の悪質なキャンパーとすら呼べない輩のお陰で有料となった、昭和の森キャンプ場(一本松公園)

真新しいゲートをくぐり抜けると、閑散とした場内。
平日とは言え、よく来ていた頃とはだいぶ様変わりしたように思える。
土日ともなると、うんざりする程折り重なっていたテントの山は、今もあるのだろうか。

ラーメンをいかに質素に、しかし魅力的に作るれるかでキャンパーの熟練度はうかがえる。と思う。

スズメバチが飛来する。首を窄め、やり過ごす。
縄張りを主張しにやってきたのだろうか。
矢鱈としつこくまとわりつかれた。

食後は小さな焚き火を。

ファイヤーボックスナノ。デイキャンプには最適なギア。

何色もの緑が途切れることなく連なる。
電波は辛うじて一本。ゆっくりと過ごす。

適当に枝を削ってみたり。鞘から抜き差しして惚れ惚れと眺めたり。

存分に野に浸かり、下山。

また頑張れる。
いや頑張らない。か。