ククサ、自作。
三瀬峠の麓にある地鶏屋さん。
みつせ鶏の石焼が人気のこのお店には、入り口横に薪が大量に積まれており、わたしもたびたびこちらでお世話になっていた。
ククサ作りを考え始めた時、ここならいい材料があるのではと一度来てはみたが、やはり全てきれいに割られてあり断念。
ネットで檜などのブロックを買うことも考えましまが、どうしても自然のままの姿(願わくば桜)から削り出したくて、道の駅などをずっと探してました。
が、なかなか出会えない。
ある日。
仕事の帰り道にはあの地鶏屋さん。
ダメ元でもう一度寄ってみたけど、まぁ、やはり無い。
帰ろうかと振り返った所に、一台の軽トラが目に止まる。
荷台には大量の薪。
どうやらここに卸している方のようだ。
じっちゃんに、思い切って「割る前の桜のたまはありますか?良ければその状態で売っていただけませんか?」と聞くと、「あるよ、それなら明日持ってきとこー」
何かの縁を感じずにはいられないですよね。
午前中の訪問を約束して帰路に着きました。
翌日、平静を装いつつ、峠道を走る。
やっとやっと、だ。
到着し、目に入る桜のたま。
じっちゃん選りすぐりの山桜だった。
何となく予感はしていましたが、薪用な為、乾燥が進みひび割れがひどい。
普通なら諦めて、全て薪にしていたかも。
何とかひび割れのない部分を見つけ出し、着工。
フックナイフと鑿でカップの内を彫ろうとしましたが、堅すぎて。
わたしは職人。
道具はいくらでもある。
狙いの位置までインパクトで掘り、その後成形。
多忙ではあったが、暇を見つけ作業を進める。
自宅で自然と向き合う。
木には削って欲しい方向があるらしく、意を汲み取れぬとささくれる。
乾燥するとひび割れる。
ナイフの使い方も覚えた。
全てが新しい。
ククサ作りが楽しい。
今日から次の工程、塩茹でにはいります。