すきです、ふくしま。[後編]

ウェザーインフォメーションが聞こえてくる。

明日の大洗、雨ところによって曇り。
最高気温は24℃。
4.2m/sの風が吹くでしょう。

もう少し、福島を満喫していこう。

いま、こうしてこの場所に立っていることが夢みたい。

車でも徒歩でも来ることのできない場所で、

貸切の夏。

なんて、贅沢な時間。

かつて超大手旅行誌Ｊは、この場所を記事にしようとした。
年間○○万円の掲載料でどうでしょうか。

経営的に大儲けしているわけではなかったが、管理人さんは首を縦に振らなかった。

もしＪに載れば、とても多くの人が訪れて来ることは間違いない。
でもそれは、必ずしもこの場所に本当に興味を持っている人ではないことは容易に想像できる。

豊かな自然。
山、釣り、昆虫、夕日、キャンプ。

ここは、これらを本当に愛する人達だけで楽しんでほしいんですよ。

そんな純粋な想いを裏切るかのように、掲載させてもらえないとなると、Ｊは『ここはもう閉鎖した』と記事にした。

※いまでは担当者がいなくなったとかで、とりあえず閉鎖の文字は消えた模様。

広大な敷地に豊かな自然を持つこの地は、反社会勢力もまた狙った過去があった。

いま、このキャンプ場を検索するとオフィシャルのホームページらしきものが出てくる。
しかし、それはまったくの偽物で、情報も嘘ばっかりだ。

ここには、調べ物をインターネットだけに頼りきっている限りは辿り着けない。

まとめのページも出てくるが、そこに載っている情報もまったく正しくないからだ。

① ここは、7月から8月までしか営業していません。
※勝手に春先や秋口もやっていると書いてある記事が多いですが、もちろん嘘です。

② ここは、固定電話が繋がりません。前述の偽ホームページは連絡先が東京03で、いよいよなんの関係もありません。
※ もしもこの番号が繋がってしまい「予約OKです、前日までにここに振り込んでおいてくださいねー」なんて明るい声で言われてしまったら、うっかり詐欺られるかもしれません。

そんな面倒くさい事象を跳ね除けてきた管理人さんの心意気、優しい人柄。

目の前に広がる美しい自然。

穏やかで、滑らかな時間。

ここは、

きっと、最後のーーー。

道の駅で購入したのは、まるまるさんに教えてもらった、旬の桃。

なんだ、この甘さ、この瑞々しさは。
これは、美味い！

すきです、ふくしま！

リオンドールにて、馬刺しが普通に売られていることに驚き購入。

管理人さんに入れてもらったビールで乾杯。

嗚呼、口の中でとろける。
これは、美味しい。

すきだなぁ、ふくしま！

管理人さんに教えてもらった酒を購入。

『榮川 純米吟醸 生貯蔵酒』

はぁ、これは本当に美味しい酒だ。

ぐびぐび。

ぐびぐび。

あっという間に空いてしまった。

ヤバイぜ、ふくしま！

もう、決めていた。

もう一泊させてもらえませんか。

モンゴルでのキャンプ話で盛り上がり、

いつかキャンプ場を経営したいんですよね
なんていう話にも真剣に答えてくれて、

夜ご飯は持ち寄って、

管理人さんの生い立ちにビックリして、

2日目の夜には『弥右衛門 純米 活性にごり生』をご馳走になる。

わ〜マジか、なんだこれ！

美味しすぎる！

めっちゃすきやで、ふくしま！！

今回の旅は、キャンプ場はもちろんだけれども、先々で出会う人々の優しさや笑顔、そして心意気なんかに自然と大きく抱かれる、そんな旅だった。

本当にありがとうございました。
来年も絶対来ますね。
また楽しく酒を呑みましょう。

固い握手を交わして、日常生活へとハンドルを切った。