もー！シースばっかり!! (前編)

あるところに、夏のキャンプは暑いし混むし虫いるしなので、このシーズンはオフにしている私がおりました。

しかし、キャンプへのあこがれと妄想は、日々私につきまとっておりました。

そんなある日、いつものようにキャンプを夢みて悶々としておりますと、突然、

「それをつくれば"ヤツ"が来る」

とフィールドでドリームな啓示が聞こえて参りました。

その時、私の頭の中に閃いたのです。

「そうだ、シースをつくろう」

私は作りました。

以前作ったKA-BAR BK2と20年以上使っているALARMのフォールディングナイフのシースの手直しに始まり、

BOKER MAGNUMトレイルのシースを作り、
MORAKNIV Companion Heavy Dutyのシース、

さらに、
LEATHERMANとファイアースチールのセットシース、
革の端切れでSilky GOMBOYのシース、

そして、
去年私の右手を負傷させた斧にも作ってやりました。
その上パラコードも巻いてカッコつけてやりました。

私はその勢いのまま、全ての刃物を研ぎに研ぎ、キレッキレに仕上げました。

ひと通り出来たので、私は女房に自慢しました。

女房一瞥して目を背け一言。

「私、シースって嫌い。なんか怖くって」

意味不明な言葉もシース作りに盲信している私にはイタズラ心に火を着けるだけでした。

私は作りました。
女房を怖がらせるためにシースを。

そのたびに怖い怖いとナイフをシースに納めて行く女房。

「あー、あんまり怖いから腰につけちゃお」
ひと通り出来たシースを女房はベルトに通してその太い太い腰に装着してまた一言。

「今度は焚き火台が怖い」

つづく
(この物語はシース作り以外はフィクションです。女房の腰のくだりなど実際とは異なります。たぶん)